ここからは翅の変異を部分的に見ていきたいと思います。
まずは前翅の黒縁からです。
私の持っている図鑑では、春型は夏型に比べてこの黒縁の発達が悪いとされています。
また、標準的な個体では、この黒縁内に黄斑がいくつか現れますが、まれに黄斑が消失したクツカケモンキと呼ばれるものが存在するようです。
そして、逆に黄斑が発達した個体もみられます。
これらの特徴がよく現れたものは、飛翔中に目視でも分かる場合があります。
それでは、それぞれの黄斑の特徴が現れたものを3個体ずつ、関脇・大関・横綱の順に並べてみます。 東(左)が黄斑消失傾向、西(右)が黄斑発達傾向の個体です。
両横綱にはかなりの違いがありますね。
モンキチョウは子供の頃からずっと見てきた蝶ですが、最近あえて注目するまでは、個体間でこれほど斑紋の違いがあるとは思っていませんでした。
そして、やはり低温期の方が黒縁部分の黄斑が発達した個体が現れやすいようです。
ところで、あくまで私見ですが、チェック&採集した他のすべての個体も含めて見ていると、第2室の黄斑が最も消えにくく、第3室の黄斑が最も現れにくいようです。
続いて、黒縁部分そのものの形が個性的な個体を載せてみます。
左は、第2室の黄斑が内側の黄色部分と融合しているタイプ。
右は、黒縁部分が黒紋近くまで内側に広がっているタイプです。
それぞれ全体を人の顔に例えると、もみあげが無いものと、おでこが狭いものです。
最後に、黒縁内の白斑が左右非対称になっている♀を貼っておきます。
変異としては軽微なものかもしれません。
厳密に見れば、どこか左右非対称になっている個体は珍しくないでしょう。
ただ、この個体は撮影チェックした時点で非対称が目立ったので採取しました。
また、前ページの「色彩の変異」では紹介しませんでしたが、この個体は他にも後翅が黄色を帯びる特徴を持ったものです。