2025.6.21
砂丘の向こうは海。 蝶屋さんなら、この時期この風景でピンとこられると思います。
そして振り返ると松林。 そう、久しぶりにキマルリを撮りたいなと思い、初めて鳥取まで狙いに行ってきました。 もちろん地元京都にもキマルリは居ますが、過去に撮った場所は、カメラと長竿を持ってウロウロしづらい場所だったので・・。 また、鳥取では翅裏が黄色いトラ型というタイプが現れる確率が高いらしいので訪れてみました。
それにしても一般的に言えば、こんな所で蝶を狙おうなんて超初心者じゃないかと思えるような環境です。 しかし蝶に詳しい方はご存知のように、キマルリの幼虫が松の葉を食べるわけではなく、幼虫を育てるアリが松や桜などの木に棲んでいるのです。
さて、とにかく松の枝を長竿で揺すりながら進んでいきますが、なかなかキマルリは飛び出してくれません。 たまにそれらしいのが飛び出しても、小さくてすばしっこいので見失ってばかり。 そしてなんとか撮れてもこんな感じ。(笑)
松の木を見上げて揺すり続けること一時間、何気なく低い位置の葉に目を遣ると、♀が止まっていました。 ひとまず近くから撮ることができ、ホッと一安心。 翅裏の模様だけでなく、4本の尾状突起が特異なシジミチョウです。
しかしこれ以降は再びなかなか撮影チャンスが訪れません。 仕方ないので場所を変えようかと車へ戻る途中、キマルリが吸蜜しそうな花を付けたアカメガシワが目に入ったので、揺すってみると・・
一頭が飛び出して再び葉上に。 しかもこれ、黄色いトラ型!?
風が強かったので葉裏に回り込む様子を観察していると、通常タイプの別個体も近くの葉裏に潜んでいました。
2頭が並ぶとトラ型の色の濃さが分かりやすいです。
アカメガシワは吸蜜ができ、また葉が大きいので松に止まっているよりも風避けにいいのかもしれません。
それが分かっていれば、松林の林縁のあちこちに生えているこの木を最初から回っていたのですが・・
風が弱まったところで花に飛び移って吸蜜。
逆光気味ですが、尾状突起の4つの白がいい感じに浮かび上がっています。
その後、少し砂丘を歩いたこともあり、また久しぶりに見上げて長竿を振り回し続けていたので、滞在4時間だけで体がお疲れモードに。 この日から本格的に気温が上がり、寝不足も重なったからかもしれません。 まだ午前11時でしたが、午後からのキマルリのテリトリータイムを待つことなく帰路につくことにしました。 これからしばらくは熱中症にも気を付けないといけませんね。
2025.7.4
近年、遠征先でクマと遭遇することが多くなりました。
先日も、蝶がちらほら吸蜜している花場が道路脇に続いていたので、車を止めて歩いていると、茂みの奥でガサガサと大きな動物が動き出した雰囲気。
シカなら一気に遠ざかることが多いですが、今回は鼻息?だけが聞こえていました。
もしや・・と車の方へ引き返していると、クマが車道へ現れて二本脚で立ち、こちらの様子をうかがっています。
「やっぱりクマか〜い!」
腰に熊鈴を付けていたので、おそらく接近する前にクマが警戒して動き出したのでしょう。
せっかくなので、とっさに撮ろうと思ったところ、クマは向こうへ走り去りました。
なんか、クマの足の裏って人間のと似てる感じ!?
とりあえず、事なきを得て良かったです。
それでは蝶の写真に移ります。
新鮮個体が訪花していると、ついカメラを向けてしまう美しさです。 北海道では見る機会も多いです。
本種は出始めだったようで、新鮮個体がよく見られました。 オレンジが鮮やかです。
4年前に撮った場所で待っていると飛んできました。 前回よりも発生が早かったようで、やや擦れている感じ。 部分的に白化しているのは擦れではないと思われます。
地面の獣糞に来ているシーンを見ることが多かったですが、これはうまくフキの葉上に止まってくれたもの。 目にしたのは新鮮な♂がほとんどで♀は見ませんでした。
続いて翌日は大雪山の高山蝶狙いです。 実は今回が4度目になるのですが、父親のトレッキング用ストックを1本持参し、ついにストック・デビューしました。 結果的には今回が最も雪の量が多く、さらにアイゼンを装着する人もいたくらいなので、特に下りでストックが役立ちました。 雪のない登山道では逆に邪魔になるんですけどね。
前方を2人が登っておられますが、その足跡を慎重に踏みしめていきます。 滑って転べば奈落の底まで(大袈裟か)、雪渓を滑っていきそうです。
雪の斜面を越えて蝶の生息地に到着したのは7時過ぎ。 快晴ですが、残念ながら時々帽子を押さえるほどの強風が続いたため、蝶はあまり飛び回らず、撮影チャンスは少なかったです。 とりあえず天然記念物3種の写真を一枚ずつ載せます。
登山道の残雪が多かったわりに蝶の発生は早かったようで、本種♂はすでに翅の傷んだものが目に付きました。
強風だったこともあり、本種もあまりレベルアップした写真は撮れずじまいでした。 また翅にはロウ紙のようなツヤがあって日光を反射するため、翅の色そのままを表現するのが難しいです。 少し曇ってくれれば良かったのですが・・
地面や岩の上に止まることが多い蝶ですが、たまには葉上にも止まります。 まだ時期的に綺麗な個体ばかりでした。
それにしても、蝶を紙で包んでいたり、ロープを越え走り回って撮影する年長者を目にすると、複雑な心境になります。 気持ちは分からなくもないんですが・・一応記しておきます。
さて、今回の遠征も活動できるのは一日半という短期間でした。
天気予報を見て、帰る日の午前中に大雪山で撮影し正午過ぎに下山。
千歳空港までの道のりが遠く感じられました。
大阪と旭川空港や十勝空港を結ぶ直行便ができて欲しいなぁ。