2023 気まぐれ遠征記

〜 夏の北海道編 @〜


 数えてみると、北海道への遠征はこれが16回目。 回数は重ねていますが、それに見合った成果が上がっていないのが実情です。 なんせ広くて移動に時間がかかるうえ、天候との相性がとっても悪い。 北海道でしか撮れない種類は遠征4回で撮り終わっているのに、そこからのレベルアップが思うように進んでいないのです。 ♂♀表裏・季節型・亜種云々。

 そこで今年は北海道の蝶の強化年としました。 とりあえず5月、十勝周辺で春の蝶の補強は進みましたが、6月の遠征では悪天候で正味一日半しか活動できず。 なんとか大雪山には登ったものの、この時期のターゲットは撮り残し多数。 なかなかうまくいかないもんです。
 年に一回北海道へ飛んでも、5年10年なんかアッという間に過ぎていきます。 北海道へ移住すれば早いのでしょうが、そうすると八重山へ飛びにくくなるし・・。
 あぁ、こんなことを言いながら死んでいくのが蝶屋人生なのでしょうか。


  2023.7.16

 本当なら利尻島からスタートするはずでしたが、悪天候の予報で断念。 訪れたことのない北海道の南西部の蝶を狙うことにします。 朝6:45、関空発のピーチ便で新千歳へ。
 到着後、オリックスレンタカーで手続きすると、受付のお姉さん、「まだ走行5キロの新車です!」 って、全然うれしくないんだけどなぁ。 前回も前々回も、砂ボコリまみれ、前面は虫の跡だらけのヒドイ状態で返却したので、てっきり汚客リストに入っていると思っていました。 逆にお得意様になっているのでしょうか。


 ネット予約の際、新車NGが選択できればいいのですが、今回も汚れること間違いなしの予定。 気を使いながらスタートし、函館を目指します。 高速を走っているとフロントガラスにやたら虫が当たってきて、虫の跡だらけで函館郊外の林道に着いたのが午後1時過ぎ。 今日は曇っているのでヤマトスジグロシロチョウを狙います。



左・スジグロシロチョウ(♂)、右・ヤマトスジグロシロチョウ(♂)
 2023.7.16 北海道函館市

 北海道ではエゾスジグロをすでに撮っていますが、この辺りでは地元周辺とは別亜種のヤマトスジグロが生息しています。 両種の見た目はほとんど変わらず、私には分布的にそうだろうとしか分かりません。
 ただ、普通のスジグロシロとは写真のように違いがよく分かります。 ともに夏型♂で、ちょうど横に並んで吸蜜してくれました。 この林道では両種が混棲しているようです。



ヤマトスジグロシロチョウ(♀) 2023.7.16 北海道函館市

 ♀もスジグロシロとは翅裏に♂同様の違いがあります。 今回、特に撮りたかったのはこのヤマトスジグロ夏型♀で、自宅から車で日帰りできる辺りではスジグロシロと判別しにくいためです。
 ちなみに私の持っている学研の標準図鑑には、両種とも北海道産以外の夏型♀の裏面が載っておらず、ちょっと残念です。



キバネセセリ(♀) 2023.7.16 北海道函館市

 天気が良ければタテハ類やゼフ類も撮れるかなと思っていましたが、この林道で他に撮ったのは本種くらい。 あとはキマダラセセリとコキマダラセセリがいて、ここでは名前の通りコキマの方が小さいか同じような大きさで、西日本の大きなコキマとは異なっていました。 珍しい蝶でなくても、所変わればなかなか面白いもんです。

 さて、やがて4時前には暗くなってきたので、クマと遭遇する前に林道を引き返すことにします。


 函館を訪れるのは初めてですが、とくに観光する気もないので、宿泊ホテルの前を走っていた路面電車を一枚。 昨年、豊橋で見て以来の路面電車です。 あ、別に電車に興味あるわけではありません。
 夕食はホテル近くのスーパーで総菜を買って部屋食でした。


  2023.7.17

 2日目は昨日よりもやや良い天気になる予報。 今日撮りたいのは、ヒョウモンチョウ東北・北海道亜種(キタヒョウモン)と、カバイロシジミ東北・北海道南西部亜種。 ヒョウモンチョウの方は亜種ではなく独立種とされる場合もあるようで、♂♀ともに撮っておきたい種類です。 そこで、昨日のような林道ではなく、開けた草原のある郊外の山を目指しました。



ヒョウモンチョウ(♀) 2023.7.17 北海道函館市

 以前に千歳や岩手で撮ったものは性別が分からなかったので、今回は確認しておきます。 ただ、信州で見るヒョウモンチョウとの違いは翅裏で、それが上手く撮れなかったのが残念。 時期的にもちょっと遅かったようで、♀は綺麗な個体がわずか、♂はボロを一頭見たのみでした。



ウラギンヒョウモン(♂) 2023.7.17 北海道函館市

 綺麗なヒョウモンチョウの♂?と思って駆け寄ると、ウラギンでした。 見慣れたウラギンに比べて一回り小さい印象です。 この個体だけたまたま小さかったわけではないので、これが以前聞いたことのあるヒメウラギンなのでしょうか。 他にも何頭か飛んでおりました。

 ところでこの山ではカバイロシジミの姿はありませんでした。 食草のクサフジは麓には多少茂っていたものの、山の上には少ない感じ。 そこで山を下りて別の場所で探索することにしました。


 思えば、以前カバイロを撮ったのは、すべてたまたま出会った個体を撮ったというパターンばかりです。 本種を探索するのは初めてですが、とりあえずクサフジがありそうな場所を探すことにしました。
 そして集落近くの空き地、林道など、しばらく移動しながら探しているうち、川沿いに草が茂っている所があって、そこのクサフジでなんとか発見。



カバイロシジミ(♂) 2023.7.17 北海道函館市

 少し大きめのシジミなので、飛ぶとよく目立ちます。



カバイロシジミ(♂) 2023.7.17 北海道函館市

 花から花へ飛び移っていましたが、開翅しなかったので飛翔狙い。 以前に十勝で撮った♂よりも黒縁が太い個体です。 美しい空色をしています。
 そしてその後も♀がいないかと探索を続けましたが、結局見つかったのはこの一頭のみ。 やがて14時過ぎに雲が厚くなってきたところで、この日の活動は終了としました。

 じつは早めに切り上げたのは、夜中の移動に備えるためでもあります。 翌日は日高山脈のツマジロウラジャノメを狙う予定で、早めに寝て、夜中の1時半頃に出発する予定でした。
 しかし、21時に消灯してもやっぱり寝られず、22時半にチェックアウト。 途中のSAで仮眠をとりながら移動することにしました。

  <続く>


過去の記事一覧へ

トップページへ