日本の蝶の亜種をすべて撮ろうと思っても、行き詰まるのは分かっています。
しかし、新規種を撮るのはもう難しく、既撮影種の写真を充実させようと思えば、亜種・変異にも目を向けたいところです。
今回のターゲットは、房総半島南部に離れて分布しているヤマキマダラヒカゲ房総半島亜種。
他産地のヤマキマとは違って低山帯に生息しており、サトキマダラヒカゲとよく似ているようです。
4月22日、いつものように助手席側に簡易ベッドをセットし、20:30出発。
遠征費用を軽減するには、往復とも0時〜4時の間に高速上にいてETCの深夜割引を利かせる必要があります。
今回は名阪国道の伊賀一之宮ICから入り、高速を乗り継いで首都圏へと走り、東京アクアラインで房総半島へ渡る予定。
春型の房総ヤマキマの記録はGW辺りが多いようですが、今年は早いだろうと予測しての決行です。
2023.4.23
実は東京辺りまで車で来たのは初めて。
神奈川県から車で房総半島へ渡れるなんて、この遠征を計画した時に初めて知りました。
早朝の東名、横浜町田ICから東京アクアラインへは標識を信じて進みますが、どこをどう走っているのか、分岐もあって緊張の連続です。
たどり着いたアクアラインの入口では、橋の写真を撮ってやろうと思っていたのに、まさかのトンネルでガッカリ・・していたら後半は橋でした(笑)。
それにしても、アクアラインでは高級外車が競うように私の車を抜いていきます。
この短時間でこれほど高級外車を見たのは初めてです。
そうか、今日は日曜日でした。
さて、房総半島へ渡った後はホッとする景色に変わり、南進してヤマキマの記録がある山地へ入ります。 そして、他の地域で本種が見られるのと同じ、ササやタケがあるような場所を探します。
走っていると林道沿いには良さそうな場所が所々あるのですが、他種も含め、蝶の飛ぶ姿が全く見られません。
曇っているうえ、やはり11℃では気温が低いようです。
それでもウロウロ走って、時々長竿で竹藪をガサガサしているうち、やがてガソリンが減っていることに気付き、ひとまず山を下ることにしました。
そしてスマホで最寄りのGSを検索。
ところが3店舗まわって全店休業。
そうか、今日は日曜日でした。
結局、IC近くまで戻って出直すことになり、これで1時間以上のロス。
しかし再び山へ入る頃には薄日が差してきました。
それでも蝶は一向に飛ばないまま時間が過ぎていきます。
これはマズイぞ・・
昼が過ぎていたので、とりあえずコンビニで買っておいたパンを食べます。
大きなコロッケパン。
そして13時が過ぎた頃、ようやくヤマキマらしき蝶の飛ぶ姿が目に入りました。
あわてて車を林道の端に止め、目で追います。
そして下草に静止したところを慎重に近づいて撮影。
「撮れた!」 そして翅表を撮るために、再び飛び立つところを狙います。 止まっている時は開翅しない蝶なので、ここでプロキャプチャー機能の出番。
「♀かぁ、やっぱりもう出てたんや」
そして一頭見つかれば、近くに他個体もいる可能性が高そうなので様子をうかがっていると、高木の上方でおそらくヤマキマであろう♂が巴飛翔しているのが目に入りました。
巴飛翔が解けて樹冠付近に止まった個体をデジタルテレコンで覗いてみると、確かにヤマキマのよう。
しかし高すぎてまともに撮れそうになく、やがて姿が見えなくなったので場所を変えることにしました。
しばらく林道を走っていると、今度はガードレールに止まろうとしている個体を発見。
しかし車を止めたとたん高所へ。
「また戻ってくるかな」とそこで粘っていると再び現れました。
ここはいい場所のようで、さらに別個体が現れて♂もなんとか撮影に成功。
そしてしばらくその♂を目で追い続けていると、飛び回ったあとカエデ類の木へ入っていきました。
そこで、その木の下へ潜って見上げてみると・・
「こんなとこに一杯おるやん」
天然のメイプルシロップに集まっていました。 道路からは枝葉で見えにくい位置なので、飛ばない限りまず気付かなかったでしょう。 意外にもカエデ類の樹液に集まる蝶を見たのはこれが初めて。 フィールドに出れば、まだまだ新たな発見があることを実感しました。
そういえば、今回いくつか撮影できた個体のうち、一般的なサトキマとの区別点で総合的に判別できたものだけをヤマキマと確定しました。 房総の春型サトキマは遅れて出現するようなのでこの時期を選んだのですが、今年の季節進行の速さから、万が一ということも考えられるからです。 ただ、明らかにサトキマ、と思われるものはいませんでした。
16時前になったところで山を下り、帰路へ。 木更津東ICから入り、しばらく走ると大渋滞。 アクアライン入口までの10キロ余に一時間半。 ゲンナリしながら4、5m進んではしばらく止まり、を延々と繰り返しているうち、不意にオーバーヒートの警告が点灯。 「もぅ・・勘弁してぇさ」
とくにボンネットから煙が出ているわけでもないので、アクアライン入口の料金所までそのまま進み、端に車を止めてボンネットを上げ、エンジンルームを冷まします。 冷却水に異常はなく、30分ほどしてから再びエンジンをかけると以降は警告が消え、事なきを得ました。
帰りの東名、海老名SAでは混雑ぶりに滅入ってパス。 あぁ、今日は日曜日でした。 仕方なく足柄SAまで走ってから遅めの夕食を済ませ、新東名へ入ってから清水PAで熟睡し、自宅に到着したのは翌朝10:00過ぎ。 今回の遠征での走行距離は1151kmでした。